普通の「アイデア出し」に飽きてしまったので、新しい方法がないかなーと思い「アイデアソン!」という本を読んでみました。その中で取り上げられていた「ブレインライティングシート」を使ったアイデア出しをしてみたので、紹介したいと思います。
- 作者: 須藤順,原亮
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: Kindle版
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ブレインライティングシートとは?
他の人のアイデアにインスパイアードされながら新しいアイデアを考えていく方法です。上の写真のようなシートを用いて、ラウンド形式で進めていきます。もっとちゃんとしたシートも販売されているようですが、私は手書きで作ってみました。(手書きでも特に問題なく進めることができました。「ラウンド」の数は参加する人数分になるように作成してください。)(付箋はテーマ決めに使ったので、なくても大丈夫です。)
アイディエーションは下記のように進めます。
- テーマを各自設定する(★1)
- テーマから思いつくアイデアを5分以内に3つ書く
- 5分経ったら、それを隣の人に渡す
- 隣の人はこれまでのアイデアを参考にして新しいアイデアを書く(参考にせずに新しいアイデアを書いてもOK)(ここでも5分で合計3つ考えることになります)
- 5分経ったら、さらに隣の人に渡す
- 最終的に自分の手元に戻ってきたら、これまでのアイデア(人数x3つ)を参考にし、最終的なアイデアをまとめる(★2)
★の部分については、私の方でアレンジした方式になり、本家(?)の方法とは異なります。
★1:テーマは各自設定する
本家の方法では全員同じテーマを設定するみたいです。しかし、今回はメンバー間で深掘りしたいテーマが異なったので、試しに全員違うテーマでやってみました。
★2:最終的なアイデアを考える
本家の方法は、集まったアイデアに投票する形を取る形式でした。しかし、★1でテーマを各自設定したこともあり、「各自、集まった小さいアイデアを元に、最終的なアイデアを考える」という方式を採用しました。
やってみてどうだったか?
初めての方式だったので、色々課題は残ったものの、参加者からも好評でやってよかったと感じました。
よかったこと
- 短い時間で3つもアイデアを出さないといけないので、逆に普段だと出ないようなアイデアが出るのが面白かったです。最終的に採用されたアイデアは、苦し紛れに出した「3つ目のアイデア」がヒントになっていることが多かったように思います。
- 全員の関心が揃わなくても、人さえ集まればすぐにアイデア出しが始められるのが良いと感じました。全員で同じテーマでやるのももちろん良いのですが、全く関心が無いテーマの場合、自分はアイデアを出すけどそれだけで終わってしまう(自分のINPUTになりにくい)ことが多いと思います。この方式だと、最終的に全員がINPUTを得られ、かつ普段興味が異なるメンバーによる新しい視点を得られることもメリットだと感じました。
改善ポイント/気をつけたいこと
- テーマの設定はなるべく具体的にした方が良いと感じました。ここを抽象的なものにしてしまうと、アイデアを出す人も困ってしまいますし、最終的に自分の得られるINPUTも減ってしまう事になります。
- 「3つアイデアを必ず書く」という空気を作る。正直、書けないこともあると思うのですが、「ふたつでもいいかー」という空気を出してしまうと、メリットに書いた「苦し紛れの(=新しい視点の)アイデア」が出にくくなります。ファシリテータはこの空気を上手く出せると良いアイデア出しの場になると思います。
- できるだけ、他者のアイデアを発展させるようにすると面白いと思いました。「発展」と書きましたが、必ず「要素を増やす」必要はなく、「アイデアを削る」という方法でもよいです。そういう視点が新しい、意外なアイデアを作ることに成ると感じました。
「アイデアソン!」本について
「アイディアソン」「アイディア出し」「ブレスト大会」などなど、3年ほど前にお客さん先の事業開発現場にお世話になってからやることが増えました。「利用者インタビューから新しい機能を考える」というものから、「世の中の問題から新しいプロダクトを考える」というものまで、様々なシーンで行ってきましたが、なんとなくでやってしまっていて方法論を知らないなーと思ったので「アイディアソン!」という本を借りて読んでみました。
- 作者: 須藤順,原亮
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2016/09/16
- メディア: Kindle版
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上の「ブレインライティングシート」以外にも、知らなかったワークの方式や、運営時の心がけについて書かれており、非常に勉強になりました。元々借りていたのですが、手元に置いておくために購入しようと思っています。今後の引き出しとして、得た学びを簡単にメモっておこうと思います。
運営時のポイント
- インプットの方法
- 参加者の意識に一定の制約を与え、考えて欲しい領域・方向性を提示する
- 現場の追体験を意識した話題提供を行う(当事者に悩みを報告していただく、など)
- 既成概念やステレオタイプを壊すインプットにできればとてもよい
- スピーカーが話し終わった直後に印象に残ったものを簡単なメモや記憶に残すように促す。(ノートに全部取ると、あいディエーション中に引き出せない)
- フレームワークや確立された手法を使う
- 小さなゴールを設定する。例えば、中間報告、メンターからのアドバイスなど。フィードバックをもらう機会を定期的に設計する。
- 参加者の多様性を意識して人を集める
- ファシリテーターの心がけ
*「ここではどんな意見でもいっていいんだ」という雰囲気を出す。
- そのうちアイデアを批判的に見るフェーズが必要なので、それが得意な人を登場させるタイミングを考える(後ろにずらす)。
- ゴールイメージを意識する
- アイディアを出して終わりか、その後フォローアップが何かしらあるのか
やってみたいワークショップ
破壊ブレスト
- 「農業の収益性を絶望的に悪化させるには」というような逆のテーマを設定する
- ここで出てきたアイデアを「防ぐ」アイデアや「解消する」アイデアを考える方式
かけ算ストーミング
- ふたり一組をペアを作り、異なる付箋に3枚ずつ好きな言葉(名刺)書く。
- それぞれの言葉を縦横に並べて、新しいサービスやプロダクトを埋めていく(すばやく)
- 最もUNIQUEなものを発表する
フィールド観察ワーク
- 観察に訪れる場所、人、状況について事前に整理。何を見る/聞くのかを観察のポイントを洗い出す
- 実際に観察する
- 調査結果の整理・共有
- 思い込みを捨てる。観察対象は兵権的ではなく、極端なユーザーにスべし。
まとめ
「ブレインライティングシート」を使ったアイディエーションは、4人の場合30分で終わらせることができます。組織によって合う合わないはもちろんあると思いますが、30分で済むので一度やってみると面白いと思いました。今後も、アイディエーションの引き出しを広げていけるようにしたいと考えています。
- 作者: 須藤順,原亮
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2016/09/16
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