【UXデザイン】インタビュー調査でユーザの真の課題を引き出すには #uxtryout

 サービスデザインをする際、不を感じている当事者の方にインタビューをすることがあると思います。私もお客さんに同行させてもらい、インタビューに参加したことがあるのですが、「どのように質問すると本音が聞けるのか?」「私の質問は誘導尋問になっていないか?」といった疑問を持ちました。一度、体系的に学んでみたいと思い、下記の講座を受講してきましたので、そのメモを投稿します。

www.street-academy.com

有料のセミナーなので、全てを記載することはしませんが、この講座から得た私の学びポイントと、私のNext Actionについて整理しようと思います。

優れたUXデザインをするためには、ユーザのことを知る必要がある

 「ユーザの不を解決したい」と思ったときに、そもそも想定しているユーザのことを理解していないことが多々あります。講師の方曰く、知らないことの方が圧倒的に多いそうです。そんな中で、「このサービスどう?」と言っても刺さるわけがないです。

 サービスやプロダクトのUXデザインをする際に、私達ができるのは「システムによる体験」を頑張って作ることまでですが、良いUXかどうかは、

  • 過去の経験
  • ユーザの属性(男女、年齢、その人の状況)
  • サービスを利用する状況(天気、時間、場所)

を含めて、複合的に決まるものです。ここで箇条書きにしたことは、私達がどれだけ努力しても変えることができないので、せめて「ユーザはどんな状況でプロダクトを使うのか/使いたいのか」「過去にどんな経験をして不にぶつかってるのか」を出来る限り理解するために、インタビューに臨みます。これがインタビューのモチベーションです。

インタビュー?アンケート?観察?

 UX設計について学ぶと「ユーザを観察するんだ!」とよく言われます。あるいは、「アンケートを取る」というアプローチも取られると思います。私はなんとなくこれらの手法をやってきてしまいましたが、この講義ではどの手法をどのタイミングで実施すべきか、住み分けを定義してくださいました。ざっくり書くと

  • 観察:ユーザが不だとまだ認知していない課題を探す・見い出す
  • インタビュー:ユーザが不だと認知している課題を抽出・整理する
  • アンケート:観察やインタビューを通して考案した課題を仮説検証する

と言った形です。先日の小1の壁( 「小1の壁」問題を深く知るためにマインドマップを作ってみた - log4ketancho )の初手として、アンケートをやろうと考えていたのでストップできてよかったです(笑)まずは、観察やインタビューを通して、ユーザのことを理解することから始める必要があると思っています。

(ちなみに、結果的に初手をアンケートに戻すかもしれません。インタビューできる人がそんなに多くないので。ただし、当初考えていたアンケートとは別の設問を考えています。)

How to インタビュー?

 UX設計のためのインタビューをする際は「半構造化インタビュー」という方式を取ります。予めざっくりとした質問スクリプトだけは用意しておくのですが、なるべく自然な会話で進め、想定していない回答が返ってきたときは積極的に台本から脱線し、ブレイクダウンする方式です。先生の「教えを請う立場でインタビューに臨む」とよい、というアドバイスがためになりました。そうすることで、インタビューイーに自然に回答してもらえ、本音を聞くことができるからです。

 他にもグループインタビューの形式を採用することで、インタビューイー同士の会話から、本音や潜在的な不を洗い出す方式と取ることもできるそうです。たしかに我々がインタビューするよりも、当事者同士であるある話をしてくれる方が、我々には見えない問題点を口にしてくれそうな気がします。上の小1の壁のヒアリングを、小学生の子供を持つ夫婦に同時にしても良いかなと感じました。喧嘩になる気もしますが(笑)

How to 分析?

 インタビュー結果のまとめ方法として、「KJ法」と「上位下位関係分析法」の2つを教えていただきました。

 「KJ法」については大学の授業でやったことがあったのですが、インタビューを文字起こし→その断面を付箋化→グルーピングするという方法です。ブレスト形式でアイディエーションするときに、よく取られる方法だと思います。

 「上位下位関係分析法」は、付箋化するところまではKJ法と同じなのですが、事象 を下位として捉え、似た事象をグルーピングし、 その事象グループがどうして発生したか 背景 を上位の概念として分類していく方法です。なぜなぜ分析のように上位に上がっていき、より本質的な要求が何なのかを見い出すことができます。この本質的な要求が解くべき課題であり、ここで意外な課題が見つかるとインタビューが大成功だと言えます。

 本講座では、「上位下位関係分析法」について演習を行いました。2時間で理論と実践の両方を学べるのはかなりありがたいです。過去の経験上、どちらか片方だけだと Next Action に繋がりにくい気がするので。成果物はこんな感じです。

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人集め

 募集の要件は1行で書けるくらいのゆるい条件に留めるべきとのことです。そして、要件ごとに少なくとも5人は!インタビューしましょうとのことでした。なかなかに大変ですが、やるしかないですね。ちなみに、会社の人にヒアリングする場合は、他チーム・部署の人にお願いした方がいいとのことです。今考えているプロダクトに近い人にお願いすると、どうしてもバイアスがかかってしまうので。

まとめ

 非常に勉強になった講座でした。カスタマージャーニーや構造化シナリオの回もあるようなので、興味のある回にまた参加してみたいです。と、ここまで書いて「ブログ書く枠」なるものがあることに気付いたので、次はこの枠に応募してみようかなと思います。

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Next Action とチェックポイント

Next Action

□ 小1の壁の件について、インタビューを受けてくれる人を探す
□ とりあえず台本を作ってみる

チェックポイント

教えて頂いたことからまず実践することを抜き出してみました。

□ 事前の準備
 □ インタビューイーの候補要件は1行で書ける程度に
 □ 台本・質問項目を簡単に作成する
 □ ユーザへの注意事項は最初にお伝えできるようにしておく
□ 当日の心得
 □ 「教えを請う」形で「自分は詳しくないんですが」という立場を貫き、根掘り葉掘りお伺いする
 □ ぼやっとした質問すると細部について語ってもらえないので、
   ・xxしたことはありますか?
   ・どれくらいやりますか?
   ・直近やったときのエピソード
  という流れで、細部を探れるようにすること。
 □ なぜxxしないのかを聞く代わりに、そのかわりに代替としてやっていることを聞く
 □ 「ということはxxですか?」という推論や、クローズド・クエスチョンをしないこと
 □ 仮説検証はなるべくやらない。どうしてもやりたければ最後の最後にバイアスのかからないタイミングでやる
□ 後日やること
 □KJ法 or 上位下位関係分析法 をやる