
こんにちは、@ketancho です。
私はこれまで3年ほど *1 エンジニアリングマネージャーとして仕事をしているのですが *2、マネージャーになって以来、技術書以外の本を読む機会がとても増えました。
この記事ではそれらの本の中から、エンジニアリングマネージャーとして私の細胞になっているであろう本を4冊紹介させていただきます。(実は別に5冊ほどおすすめな本があるのですが、それについては後述..)
▼ この記事の目次
エンジニアリングマネージャーのしごと
私がマネージャーになった際、隣のエンジニアチームの先輩マネージャーの方が、新米マネージャーのための輪読会を企画してくださいました。この『エンジニアリングマネージャーのしごと』は、その輪読会の課題図書でした。この輪読会で教えていただいたこと・得られたことは、間違いなく私のマネージャーとしての軸になっており、本当にありがたい会だったと思っています。
この本は、初めてマネージャーになった人視点の物語形式で話が進んでいくので、ストーリーを追いかけながら自然にエンジニアリングマネージャーとしての Tips が学べる、とても読みやすい構成になっています。
まず、この本の序盤で、マネージャーとしての測りについて
マネージャーのアウトプット = あなたのチームのアウトプット + あなたが影響を与えた他のチームのアウトプット
と定義されています。本書の中でもこの定義が度々出てくるのですが、私自身もこれまでのマネージャー生活の中で、この定義を測りとして使っていました。
個人的に学びが大きかった章は9章と13章です。
9章 友人を作り、人に影響を与えるには
先ほどのマネージャーとしての測りにおける、あなたが影響を与えた 他のチームの アウトプット、に関する部分です。私の場合は、相対する営業チームとのコミュニケーションにおいて、この章はかなり参考になりました。営業チームにとっては大きなブロッカーでも、エンジニアチームからするとそこまで苦労せず解決できることや、逆も然りなケースがよくあると思います。組織視点で考えると、チーム内だけで悩んでいるのは時間の無駄なので、マネージャーとして率先して隣のチームとコミュニケーションを取り、エンジニアチームとして解決できるお困りごとが落ちていないか探すようにしていました。この動きを繰り返すことで、ロールが異なるメンバー同士の会話も増え、それがお互いに敬意を持って仕事をすることに繋がっていたような気がしています。
13章 コントロールを手放す
人間の脳は、L モードと R モードがあり、イノベーションのために必要なのは R モードである、という話。この R モードに暴れてもらうためには、何もしない時間枠が必要で、そういう時間を意識的に作る必要があるとのことです。マネージャーとして、私自身がそういう時間を確保したいと思いましたし、日々忙しいチームメンバーの皆さまに立ち止まってもらう時間を作ってもらうきっかけにもなりました。一方、同じ章に書かれている、マネージャーたるもの割り込みに対応できるよう、キャパシティギリギリで働いてはならない、という点については、全然できていないなーと今でも感じます。結果として、メンバーの皆さまに「忙しそうだから..」と思われていまったシーンが何度もあったと思うので、この点については改善しないといけないですね。
ここで紹介しなかった章でも、1on1 を行う際の心持ち(4章)であったり、採用の話(7章)であったり、キャリアの話(15章)であったりは非常に読み応えのある内容でした。エンジニアリングマネージャーとして自分は完璧だ!と思っている方はきっと皆無だと思うので、どこかしらの角度から何かしらの気づきと Next Action が得られる書籍だと思います。
任せるコツ
2冊目は『任せるコツ』です。マネージャーになって陥りがちなこととして「自分でやったほうが早いのでは?」症候群があると思います。そうではなく、狙って意味のある "丸投げ" をして、メンバーに気持ちよく、そして成長に繋がる仕事をしてもらう方法が語られています。
お願いしたタスクの目的や、それをやり終えた後の姿をしっかりと伝え、かつメンバーにとって適度なチャレンジがある、そんな "丸投げ" であればそれは良い "丸投げ" なのでどんどんやろう、と推奨されています。(ここまで考えて移譲できるのであれば、もはや丸投げではない気がしましたが..w)
一流のリーダーは、メンバー本人も自覚していない意欲や適正を見抜いて仕事を与える
という部分も気に入っています。メンバーの鏡になる(鑑ではなく)点で、コーチングの考え方にも近しいものがあると感じました。特にインポスター症候群気味な方に対しては、あなたの Super Power はここだと思っている!ということを意識的に伝えられるようになったと思っています。
また、マネージャーは必ずしもメンバーより優秀である必要はないが、誰よりも客観的に組織を見られるように在ろう、という話も心に刺さりました。メンバーの方が優れていることはメンバーに教えてもらうで構わない(それはマネージャーとして恥ずかしいことではない)ので、学び続ける姿勢を持ち続けよう、というのは、私たちエンジニアリングマネージャーにとって大切にしたいマインドだと感じています。
それ以外にも、
- 利益目的だけでなく、社会的意義を追っても良い
- とどまらずに変化し続けよう
- 真摯であれ
といった部分も心に刻んでいるのですが、最も気に入っているのはどの部分ですか?と聞かれたら、
「マネジメントになってチームを持つというのは、喜びが何倍にもなること。部員が活躍したり成果をあげたり昇進するたび、単純に喜びが増えてお得だ」
という著者の言葉を挙げると思います。
過去に「マネージャーとして大切にしていることは?」的なテーマで、社内のパネルディスカッションに登壇させてもらったことがあります。その際、「マネージャーになってよかったことは何?」という質問に対して、「最近は、自分ではなく、メンバーが褒められることに喜びを感じますねー。」と答えたことがあるのですが、まさにこの「喜びが増えてお得」は強く共感できます。
ちょうどこれを書いているのが3月後半で、来月にはフレッシュな方が多く入ってくる!という方も多いと思います。エンジニアリングマネージャーの方はもちろん、"先輩" になる皆さまにも、手に取っていただきたい1冊だと思っています。
アジャイルなチームをつくる ふりかえりガイドブック
3冊目は、マネージャーとしてチームの「ふりかえり」をサポートする際にとても役立った本を紹介します。このふりかえりガイドブックでは、
- ふりかえりの進め方(準備からファシリテーションまで)
- ふりかえりのマインドセット
- ふりかえり手法
といった内容が紹介されており、特にマインドセットの部分と手法の部分は、何度も参考にさせていただきました。
マインドセットの観点でひとつ具体例を挙げると、
メンバーの(チームの)学びを祝う
ことが紹介されています。これは、仮にメンバーが「失敗」してしまったとしても、それをネガティブなものとだけ捉えるのではなく、チームとして「前に進んだ」「気づきを得られた」と捉えよう、ということです。
チームメンバーとの会話の中でも、「前に進んだらそれだけで収穫では?」「一番の失敗は何もしないことだったりしません?であればそのアイデアやっちゃいましょうよ!」というニュアンスの伝え方ができるようになったと思っております。メンバーが新しいチャレンジに踏み出しやすくなる振る舞いに繋がっていたら嬉しいなと思う今日この頃です。
また、本のタイトルに「ふりかえり」とありますが、実はチームのプランニングにも大いに役立ったと思っています。特に比喩を使ったワークショップは、様々な場面で活きたと思っており、チーム内から始めたワークショップが、組織を横断してやる形になり、最終的には会社をまたがって実施するメニューになるまでに至りました。
また、後ほど軽く触れるのですが私はコーチとしての活動もしており、このチーム向けのワークショップを個人版にし、目標設計のためのワークショップとしてリバイズすることにも繋がりました。
この1冊がマネージャーとしての活動の幅を大きく広げるきっかけになったと思っています。もし、チームビルディングに悩むマネージャーの方がいらっしゃいましたら、ぜひ手に取っていただきたいです。
新 コーチングが人を活かす
最後はコーチングの本です。マネージャーになる前から、前の版("新" がつかないもの)にはお世話になっていたのですが *3、マネージャーになるタイミングで改めて "新" を読み直しました。
"新" の方では、62 のスキルが紹介されており、始めから読み進めるのももちろん OK なのですが、個人的には目次を見ながらその瞬間ビビッときたものを読んでいただくのもおすすめです。
個人的なお気に入りの部分を紹介すると、
『SKILL47 - 自分自身が日々小さな目標を達成する』
コーチとして、あるいはマネージャーとして、前進し続ける姿を見せる必要があるよね、という章です。それを見たクライアント(コーチングを受ける人)、あるいはメンバーの皆さまが、「自分もやるぞ!」と思ってもらえると良い関係性が築けると思います。これは「鑑になる(こちらは鏡ではなく)」話ですね。
『SKILL39 - クライアントにコーチになってもらう』
メンバーの方に「どうすれば私はもっといい上司になれると思う?」と問うてみましょう、という話です。普段と違う視点で物事を考えてもらうことで、新しい気づきが生まれるかもしれないという内容です。そして、マネージャーが常に前を走る必要はないという(ひとつ前の SKILL 47 とある意味逆の)解釈もできるなと思いました。自分よりもメンバーの方が得意なことにメンバーが悩んでいたとしても、コーチングができればメンバーが考えを深める場を作るという点で、マネージャーとして貢献できる余地がある、そう捉えています。
そして、
『コーチングの本質は "未来を創り出す主体的な人材を創る" こと』
というメッセージもとても気に入っています。私のマネージャーとしての理想は、メンバーの方が自分のチームから離れた後も、エンジニアとしていきいきと働き、豊かな人生を歩んでくださることです。加えて、その後はマネージャーとメンバーという関係がなくとも、友人として、時には切磋琢磨し、時には利害関係を超えたタッグを組める、そんな戦友が作れたら嬉しいと思っています。このメッセージはこれに通ずるところがあるんじゃないかなと(勝手に)解釈しています。
本の紹介からは少し脱線しますがコーチングについて。私は、マネージャーになったと同時にコーチングスクールで学びはじめ、2024年からは社外の方向けのコーチとしても活動しています。コーチングに関しては note にしたためているので、よければこちらもあわせてご覧いただければ嬉しいです。
不確定要素の多い IT エンジニアリングにおいて、マネージャーとして持っておきたいスキルのひとつがコーチングなのかな?と思っています。この本は、コーチングに興味がある方が最初に読む1冊としておすすめできる本ですので、よければ手に取ってみてください。
+αの5冊
エンジニアリングマネージャーとして学びがあった!という意味だと、実はあと5冊ほど紹介したい本があるのですが、これまでの4冊のような粒度で書いてしまうと超大作になってしまいそうなので、いったんインデックス的にタイトルだけ紹介しておこうと思います。
- 数理モデル思考で紐解くRULE DESIGN -組織と人の行動を科学する-
- 最高の結果を出すKPIマネジメント
- 人生を変える!「コーチング脳」のつくり方
- 心のゾウを動かす方法
- 仕掛学―人を動かすアイデアのつくり方
もしかしたらこの記事の後編として、あるいはこの記事自体をアップデートして、いつか皆さまに紹介できればと思っております。
まとめ
前職時代はマネージャー(管理職)に自分は向いていない、なんならやりたくないとすら思っていたのですが、今は胸を張って「やってよかった!」と言いたいです。
マネージャー初年度の感想がこれだったのですが、
2023年ふりかえり
— かなざわ|Kei Kanazawa (@ketancho) 2023年12月31日
お仕事はマネージャーにロールチェンジした初年度で、まだまだやれたことあったなーという思いもありつつ、まずは無事に1年完走できてよかった。周りの方のサポートに感謝。年末の1on1で複数のメンバーから自分史上1番のマネージャーだった的な言葉をもらえたのが嬉しかったです。
正直、私は前述のマネージャーの先輩や、マネージャー同期の皆さま、そしてなによりチームの皆さまに恵まれたおかげで、この想いに至れていると確信しています。再現性ないんじゃないの?と言われても否めないです。
そんな中、少しでもコントローラブルにできることがあればなんだろうな?という想いで、エンジニアリングマネージャーとしてのバイブルになった本を紹介させていただきました。
今後、エンジニアリングマネージャーに挑戦してみたい!という方や、今エンジニアリングマネージャーとしてもがいている方に、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
それでは!
かなざわ(@ketancho)
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