
こんにちは、かなざわ(@ketancho)です。
Twitter (X) でもご報告させていただきましたが、2025/5/31 付けで AWS Japan (アマゾンウェブサービスジャパン合同会社)を退職しました。2019/5/6 に入社したので、約6年間 AWS Japan でお世話になりました。
5月末で AWS を退職することになり、本日が最終出社でした!☁️
— かなざわ|Kei Kanazawa (@ketancho) 2025年5月30日
6年在籍させていただき、多くのチャレンジングな機会を頂きました。周りの皆さまに恵まれ、最高の6年間でした。本当にありがとうございました!
6月から新しいチャレンジをしていきます!引き続きよろしくお願いいたします🙇♂️
かなざわ pic.twitter.com/SOVkvYw1cf
同僚の皆さま、相談会などでお話し&ディスカッションさせていただいたお客様、登壇やコミュニティで私のことを知っていただいた AWS User & Learner な皆さま、お仕事で関わらせていただいた全ての方々のお陰で、とても貴重な6年間を過ごさせていただきました。本当にありがとうございました。
そのありがたみや学びを忘れぬよう、6年間の振り返りをこの記事で残せればと思います。*1
SA としてのお客様との関わり
AWS に入社してからの6年間、私は一貫して "業界・業種を問わず & お使いの技術を問わず" お客様のアーキテクチャを(ときにはお客様のビジネスを一緒に)磨き込むことがミッションである、ソリューションアーキテクトチームで働かせていただいておりました。
ソリューションアーキテクト(以下、SA)は、技術面はもちろん、お客様のビジネス面の現状や将来的に在りたい姿についてお伺いし、日々コミュニケーションさせていただいています。この "技術のことだけではない" ところが SA の面白いところであり、そして難しいところでもあると思っているのですが、時にはお客様に業界のことを教えていただきながらも、少しでも AWS の上で良いプロダクトを作っていただき、安定運用し、ビジネスがスケールする一助になりたいと思い、過ごしていました。
当時、私の所属するチームでは、1人の SA が年間300を超えるお客様とお話しさせていただいていたのですが、お客様によって AWS の利用状況や、AWS のご経験のある IT エンジニアの方がどれくらい所属されているか、といった条件が全く異なります。ですので、「教科書的な正しさを守ってもらう」や「ベストプラクティスに沿えば OK」だけではなく、それを鑑としながらも、そのお客様にとっての壁を階段にして一緒に登っていく、"今のそのお客様にとっての" ベストを一緒に探っていく、といった関わり方を心がけていました。
非常にチャレンジングで、やりがいのあるお仕事だったと思っています。特に、AWS をご利用いただいてからすぐのお客様は、私との相談会でそのあとの AWS ジャーニーが変わりうると考えており*2、緊張感と楽しさが同居するお仕事だったと思っています。
www.ketancho.net こちら入社1年が経った頃に書いた記事になるのですが、最近読み返してみたらとても楽しげで、ちょっと笑ってしまいましたw 最初の1年でここまで伸び伸びと働かせていただけたのは、ただただ当時のマネージャーや同僚の皆さまに恵まれたことに尽きると思っています。SA チームの皆さまはもちろんですし、営業やマーケチームの皆さまとの関わりも最高に楽しかったことを覚えています。
後述する OLP を大切に、周りの同僚に敬意を持って働いている方が多いからこそ、当時の私のような入社してすぐのメンバーでも、いきいきと働かせていただけたのだと思います。本当に感謝しています。それが当たり前だと思ってはいけないのと同時に、それが当たり前になるよう行動していきたいなと考える今日この頃です。
登壇や執筆などのマス向け活動
また、登壇であったり、ブログ執筆であったりと、マス向けの活動の機会に大変恵まれた6年間でした。元々、AWS 入社前に SA の皆さまの登壇を見て「自分もこうなりたい!」と思ったことが AWS に入りたいと思った理由のひとつでしたので、登壇する側、発信する側に回ることができたのは感慨深いものがありました。
特に、マーケチームと連動するイベントには、非常に多くの利用者の方が来てくださるので、もちろんプレッシャーもすごい(毎回吐きそうになる)のですが、それ以上にやりがいが大きかったです。AWS の SA として働いていなければ、このような経験をするのは(私には)難しかったと思っているので、稀有な体験をさせていただいたことに感謝しています。

また、オンデマンドハンズオン Hands-on for Beginners や、Web マガジン builders.flash といった企画は、0→1 フェーズから携わらせていただきました。なかなかできる経験ではないと思っており、私のキャリアの中でもかけがえのないものになったと思っています。
唯一、マス向け活動で心残りなのは、2020年にパシフィコ横浜で開催予定だった AWS Summit が、コロナ禍で中止になってしまったことです。サーバーレスの文脈で1セッション登壇させていただくことが決まっていたのですが、残念ながらその機会は Skip に。その後、オンライン開催の AWS Summit での登壇機会はあったのですが、現地開催の AWS Summit で登壇ができなかったのは、唯一、この6年間でやりきれなかったことかもしれません。
一方、コロナ禍で世の中が混乱する中、社員の働きやすさを考え、臨機応変に、柔軟な働き方をさせていただけた会社には本当に感謝しています。当時、妻は出社せざるを得ない職種でしたので、2人の保育園児がいる我が家が、3ヶ月もの保育園自粛期間を乗り越えられたのは、会社や当時のマネージャー、チームの皆さまのおかげ以外の何物でもありません。
人生初のマネージャー業
AWS での6年間のうち、最初の2年半をプレイヤー(Individual Contributor)として働いたのち、チームの規模が大きくなったタイミングでマネージャーをやらせていただくことになりました。1年間プレイングマネージャーとして働き、その後2年半、マネージャーを務めさせていただきました。*3
新卒で入社した会社では、マネージャー(管理職)を担うイメージは皆無でしたし、なんならやりたくない、素養がない、とすら思っていました。しかしながら、(ここまでも度々登場しましたが、)この同僚に恵まれた環境であればなんとかなるかもしれん、ここでできなきゃもう一生できないだろう、という気持ちもあり、チャレンジさせていただくことにしました。
過去にマネージャーとしての経験がなく、お客様とのミーティングに連れていくと醸し出せる威厳(?)みたいなものもなく、当初私は、「マネージャーとしての武器がなく、自分のチームになったメンバーには申し訳ないなー」と思っていたこともあったのですが、たまたま優秀かつ良い人たちばかりが私のチームに入ってくださったという運の良さもあり、2年半(あるいは3年半)やりきることができました。
もうひとつ、周りに恵まれたという意味だと、AWS におけるメンターとして(私が勝手に)頼りにさせていただいている大先輩 @pioho07 さんが、当時の新米 SA マネージャーを集めて、チームの垣根を超えて輪読会を開催してくださったのも大変ありがたかったです。皆さまのいい動きを少しずつ真似させていただき、自分なりのマネージャーとしてのスタイルを作ることができたと感謝しています。私も「自分に返ってくるかどうかは二の次で、周りに与え続けられる」そんな人間になれるよう、今後精進したいと思っています。
▲ 輪読会ではこちらの記事の最初に紹介している「エンジニアリングマネージャーのしごと」を読みました。先輩 SA Mgr からたくさん良い話を聞かせていただきました。楽しかった..。
そして、私のマネージャーとしてキャリアをふりかえる上で、コーチングとの出会いは大きなものでした。先ほどの「武器がない」と思っていた話にも通ずるのですが、それを模索する過程でコーチングを学びはじめることにしたのは、この数年間のハイライトだったと思っています。
個人的にコーチングを「武器」と呼びたくないのですが、コーチングを学んだことで、マネージャーとしての自信といいますか、こう在りたいという理想が定義でき、地に足がつく形で働くことができるようになったと思います。また、コーチングは仕事だけでなく、父親としても、人としても、好影響を与えてもらっていると思います。学びはじめてよかったと心から思っています*4
この "マネージャーの仕事 x コーチング" の AWS Japan における集大成として私なりに誇れるものとして、社内のグローバルカンファレンスへの登壇があります。"Tech Role のマネージャーがコーチングを学ぶ意義" をテーマに CfP を出し、英語登壇させていただきました。ありがたいことに多くの方にご覧いただき、マネージャー以外の方からも嬉しいフィードバックを頂くことができました。(集計方法は謎なのですが、Global 全体の Top 3% に入る評価を頂くことができました✨️)
このブログは IT エンジニアとしての技術の話を書いているのですが、コーチングについては note で学びを整理しています。もしよろしければあわせてご覧いただければ嬉しいです。幾つか記事を抜粋しておきます。
▲ コーチングの学びは、チームビルディングやワークショップにも多分に活かせていました!
素敵な風土に助けられた6年間
月並みなのですが、楽しい6年間でした。この4月5月は有休消化期間で次の準備を進めていたのですが、その期間にこの6年間を経た自身の成長を感じることが多々ありました。物事の進め方、明瞭な伝え方、人とのコミュニケーション、チームビルディング、0を1にする、1を10にする、6年前の自分と比べたときに、できることが増えている、そんな感覚があります。
その成長ができた自分がすごいということを言いたいわけではもちろんありません。相手に敬意をもったフィードバックを推奨する文化の中で6年間揉まれているうちに、そういう力をつけさせていただいたんだと思っています。本当に感謝しています。
AWS には Our Leadership Principles(OLP) というカルチャーがあるのですが、私はこれが大好きです。入社当時は、Ownership と Bias for Action が、途中で Earn Trust と今はない(というか私が入ったときにはなかった)Vocally Self Critical が、そして辞める直前には Are Right, A Lot と Strive to be Earth’s Best Employer が特に大好きでした。このカルチャーは AWS をやめた後も忘れることなく、心に刻んで生きていきたいと思っています。
6年間、本当にありがとうございました。今後も、イチ AWS ユーザー、AWS ファンとしてお世話になりたいです。どうぞよろしくお願いいたします。

6月から何しているの?という話は、もう少しでお伝えできると思います。6月後半から7月前半くらいにシェアさせていただける予定です。
それに関連して、先日 Udemy さんで AWS の講座をひとつ公開しましたので、もしよければご覧いただければ嬉しいです。
それでは!今後もよろしくお願いいたします。
かなざわ(@ketancho)