#地元がヤバい本 「凡人のための地域再生入門」を読んで

この半年はあまり携わることができなかったのですが、この数年間、子ども関連や教育関連を中心に社会問題に関わる活動をしています。社会課題 x IT といった形でシステムに結び付けて問題を解決で きそうな場合は、そのプロトタイプを作ったりもするのですが、そうでない活動もやっており、例えば絵本の読み聞かせのようなイベントにも携わっていました。

私の周りには社会課題に関心のある人多くいるのですが、その中でも地方創生関連に関心を持っている人が多いです。そのような人たちと喋るためにも、基本的な問題については理解したいなと日頃から思っていました。「地方」のアイデアが「子ども」にも活かせると思いますし、その逆も然りだと思うからです。そんなときに「凡人のための地域再生入門」という本がタイムラインで流れてきました。非常に評価の高い本だったこともあり読んでみたのですが、その整理をしていなかったのでこのタイミングでメモを残したいと思います。

地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門

地元がヤバい…と思ったら読む 凡人のための地域再生入門

  • 作者:木下 斉
  • 出版社/メーカー: ダイヤモンド社
  • 発売日: 2018/11/15
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

本の概要

著者の20年を超える "地方創生" の経験からの学びを小説形式で伝える内容です。ロジカルなビジネス書ではなく、エモーショナルな部分も伝えたいということで、このような形式になっているとのことです。小説なので非常に読みやすく、加えて随所にコメントやコラムやあるため、ビジネス書的な知見も得られます。

私自身は "地方創生" に主軸を置くつもりは(今のところ)ないのですが、この本からは他の領域にも横展開できそうな学びがありました。ここからはその学びについてメモしていきたいと思います。

補助金が地方のガン

自らの手で稼ぐ、それ以外の方法で再生なんかありえへん。

本の帯にもなっている部分です。4年ほど前に携わっていたプロジェクトで、国からの補助金が貰えそうな案件がありました。当時は、「もらえることにこしたことはない」くらいにしか思ってなかったのですが(そのプロジェクトはその前に終わってしまった)、この本の中ではそのような一時的な資産をもらうことで事業がうまくいかなくなる例が紹介されています。

初期段階で単発な予算をもらったとしても、それは長期的に維持できる構造にならず、後々首を締めることになる。そうではなく、身の丈にあった形でスモールスタートする方が、長い目で見ると良い事業になる、と私は理解しました。

「実践することが前提」の勉強会

一番よい企画は、仲間との会話のキャッチボールから出てくる。 勉強会は単にその人の話を聞くだけにとどまらず、僕たちが取り組む具体的なプロジェクトの公開型企画型会議という形式をとった。 この勉強会はあくまで「実践することが前提」だった。その場で企画を決めていって、やる期限までみんなの前で宣言して終える。

地方で何かをするにしても、定期的に地域の外に出て、別の地域の人(活躍している人)と会話するのが重要という話がありました。そういう人を巻き込んで、リモートで勉強会を開催しているとのことだったのですが、その勉強会のスタイルは具体的なプロジェクトを持ち込む形式の "プロジェクト公開企画会議" という形を取っていたそうです。

勉強会に出て「勉強になった」で終わらせるのではなく、その場で企画を決め、Next Action を宣言する形で進める形の勉強会とのことです。地元メンバーや各地の活躍している人が出席しているため、コラボレーションが次々と決まる会にできたと書かれています。「知と知の融合」の成功事例だと感じました。

七、八人がいいと言ったら、もうやめた方がいい

十人の人間の中、五人が賛成するようなことは、たいてい手おくれだ。七、八人がいいと言ったら、もうやめた方がいい。二、三人ぐらいがいいという間に、仕事はやるべきものだ

"地方創生" に限らず、新しいことをやるときに批判はつきものだと思いますが、特に地方では批判が非常に多いというコラムがありました。自分だったらどうロジカルに切り分けていくかを考えますが、筆者は逆に「批判が多い方がそれをやるべき」と考えているようです。

最終的に「結果で地域にプラスを生み出せばいい」という考えで進めているそうです。結果が出れば当初反対していた人も手の裏を返す事例が多々あり、「百人の合意より一人の覚悟がまちを動かす」はとてもいい考えだと思いました。

まとめ

実はこの本を読んでから少し経ってしまったのですが、最近 "社会課題 x IT" な話を何件かもらったこともあり、このタイミングで振り返ってみました。今年は目の前のことで精一杯だったので、来年は積極的にやっていきたいと思う今日この頃です。関連する積ん読を消化したいとも思っており、来年に繋がる年末年始にしていきたいと思います。それでは!