50時間でしっかり準備する、忙しい人のためのネットワークスペシャリスト試験対策 #情報処理試験

 以前、このような記事を書きました。友人から「この記事読んだよー」と言ってもらえるケースが何度かあり、大変嬉しかったです。

www.ketancho.net

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「10時間で」「20時間で」という比較的短時間で取れたのは、普段の業務や自分の得意分野との相性が良かったからだと思います。しかし、全ての高度試験がそうだったかというともちろんそうではなく、特にネットワークスペシャリストについては非常に苦労しました。

 元々アプリ屋だったのでインフラ周りの話を全く知らず、そのくせにほとんど勉強せずに受験し、残念な結果におわりました。それを数度繰り返しています😅しかし、その後一念発起し(?)しっかりと対策をした結果、無事に合格することができました。今回はこの課程でどのような準備をしたかをまとめていきたいと思います。

 個人的に「エンジニアとして最も成長できた」と思える高度試験がこのネットワークスペシャリストだったりします。インフラ周りがわからない・業務で使わない方々が、その初手としてマイルストンにするのにおすすめなので、ぜひ良いきっかけにしていただければと思います。

想定読者

  • あまりインフラが得意ではない(業務では担当していない)方
  • 平日の移動時間などを上手く使って対策したい方
  • この試験を契機に、インフラの基本を抑えたい方

勉強方法

 では、私の行った勉強方法を整理していきたいと思います。大きく4つのフェーズに分かれます。

  • 1) ベースとなる知識をつける(15時間)
  • 2) ネスペならではの対策をする(20時間)
  • 3) 過去問を解く(8時間)
  • 4) 直前の振り返り(7時間)

当時の私はこんなに綺麗にフェーズを分けて勉強することはできておらず、行ったり来たりしながら進めていました。ただ、今となって思えば、土台を固めて少しずつ試験問題に近づいていくアプローチの方が良かったかなと思い、このような整理をしています。では詳細を見ていきます。

1) ベースとなる知識をつける(15時間)

 前述の通り、私は基本のキすら分かっていない状況でしたので、まずは基礎を固めることを意識しました。ネスペの対策をするというよりも、インフラ全般の知識をつける形です。遠回りに見えるかもしれませんが、「エンジニアとしての血肉を作る」という意味で、このフェーズが一番勉強になったと思います。私と同じような状況な方は、まずはここから始めてもらえればと思います。

プロになるためのWeb技術入門(3時間)

まずはこの本で Web アプリケーション開発の基本のキを抑えましょう。この本は、私が新人のころに先輩に教えて頂いた本で、当時「インフラ?なにそれおいしいの?」という状態だった私が、Webアプリの全体像を抑えることができた本です。非常に読みやすい本なので、まずは全体像を掴むのに最適な一冊だと思います。

また、受験当時はなかった本ですが、「基本のキを学ぶ」という意味ではこちらの本もおすすめです。お好きな方(or 両方でも)をお選びください。

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Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築 改訂版(読む1時間、手を動かす4時間)

全体像を抑えたところで、手を動かしてみるのがおすすめです。他の記事(AWSを学ぶ上でやってよかった勉強法5選 - log4ketancho)でも紹介したのですが、この本で、

  • サブネットの考え方(パブリック / プライベート)
  • ルーティングの考え方
    • ここは AWS ならではの設定となりますが、基本的な考え方はオンプレと変わらないと思っています
  • Web サーバ、DB サーバの役割分担について
  • NAT の役割

などを、実際に手を動かしながら 学んでみてください。この本は読むだけではネスペ対策にならない(は言い過ぎですが)と思います。実際に手を動かして、この先のインプットのハードルを下げることが目的です。ぜひ、お手元の PC で写経してみてください。

マスタリング TCP/IP(4時間)

全体をざっくり抑えたところで、細かい話を理解していきましょう。おすすめは「マスタリング TCP/IP」です。名著です。最初に「何度もネスペ落ちました」と書きましたが、この本を理解してからは自信を持って解答できる問題が増えたような気がします。

3分間DNS基礎講座(読む2時間、手を動かす1時間)

また、DNS については出題が多い((私が合格したときに、DNSの大問をまるまる解けたので、そういう印象を持っているだけかもしれませんがw))と思いますので、しっかり抑えておきたいところです。できれば、この本を読んだ上で、AWS の Route53 を使って DNS 設定についても体験してみるといいかもしれません。「Amazon Web Services 基礎からのネットワーク&サーバー構築 改訂版」の続きとして、独自で取得したドメインを Web サーバに適応するだけでいいと思います。私は、DNS の設定をしたことがなかったのですが、Route53 の設定を通して基本を学べたと考えています。

3分間DNS基礎講座

3分間DNS基礎講座

  • 作者:網野 衛二
  • 発売日: 2009/06/12
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)

2) ネスペならではの対策をする(20時間)

情報処理教科書(読む5時間、問題を解く3時間)

 定番の情報処理教科書シリーズです。「マスタリング TCP/IP」と「3分間DNS基礎講座」を読んでいれば、半分以上の範囲はすらすらと読み進められると思います。とはいえ、出題範囲を網羅できているわけではないので、この教科書で全体をカバーするつもりで漏れなく進めて頂きたいです。

情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2020年版

情報処理教科書 ネットワークスペシャリスト 2020年版

ネスペのxシリーズ((問題を解く4時間、解説を読む2時間)x2 = 12時間)

1年分の過去問を徹底的に掘り下げるシリーズです。情報処理教科書と比べると「問題をどのように解くか」に特化した本になります。知識はあるはずなんだけど、午後で落ちてしまうという方は、このシリーズだけでもやると違うかもしれません。2年分くらいやるといいと思います。

3) 過去問を解く(8時間)

午前対策:午前2 x 5年分(3時間)

 高度試験のお決まりの対策です。PM対策やDB対策記事にも書きましたが、午前2は3~4割の問題が使い回しです。25問中10問弱は過去問から出ることを考えると、その問題だけでも確実に取れると足切り率が激減します。

午後対策:午後1, 2 x 1年分(5時間)

 上で紹介した「ネスペのx」シリーズを取り組んでいれば、「解き方を学ぶ」という意味では十分です。ただし、時間配分の練習はしておいた方がいいので、最後にそれを意識して1年分だけ取り組むといいと思います。最初の5~10分を問題選択に使い、簡単な or 自分が得意な大問を選べるようにしたいところです。

4) 直前の振り返り(7時間)

 やりっぱなしではなく、直近に復習をしましょう。特に午前2の問題は前日にもう一度やって、つまらない足切りにひっかからないようにしたいところです。

  • 午前対策:午前2 x 5年分(2時間)
  • 自信のない部分を振り返る枠(5時間)

まとめ

 私の勉強方法についてまとめてみました。冒頭にも書きましたが、当時インフラ関連の業務を全くやったことがなかったので、かなり基本的なところから勉強しました。そのため、時間もかかってしまいましたが、得られた知識も多かったと思います。

 全体を通してみると、本を読む時間が15時間、午前2の過去問を解くのが5時間、実際に手を動かしたり演習したりが30時間でした。まだ春の試験が終わったばかりですが、まずは通勤の時間に本を読むところだけでも進めておくと、夏以降の学習がかなり楽になると思います。今からフルスロットルでやると息切れすると思うので(私は間違いなく息切れします)、

  • 8月くらいまでは、細切れの時間をうまく使って本を読む部分と午前2の過去問をやる。AWS で手を動かす部分も家でじっくり取り組んでおく。
  • 9月以降の1.5ヶ月で、ネスペ対策を一気に片付ける。

というような進め方をすると、いいんじゃないかなーと思いました。以上になります。